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月光の誘惑《番外編》
第2章 月下の桜(二)
で、今週末の予定をあかりに聞いてはいるものの、返信はない。仕事中はなかなか連絡できないと言っていたから、仕方ない。
今の派遣先は今月末で終わりらしいので、いろいろ大変なんだろう。
……なんて、聞き分けのいいふりをして、クリスマスプレゼントなんか物色しているのだから、俺は本当に狂ってしまったのかもしれない。
「……それって、今までのお前と同じじゃん? 何を考える必要があるの?」
「だとしたら、脈ナシじゃん」
「脈があると思うほうがおかしくね?」
洋介の鋭いツッコミに、俺は溜め息を吐き出す。
だよなぁ。完全に脈なんてないよな。
本気にさせられるほどのステータスなんて、俺自身は持ち合わせていない。
社長の息子だという立場にも、財力にも、あかりは魅力を感じていない。
悔しいけど。俺の力なんて、そんなもんだ。
「まぁ、一つだけ可能性があるとしたら」
洋介は唸る。
何だかんだ、洋介は俺の相手をしてくれるから、いい奴なんだよなぁ。
「年月、じゃね?」
「年月?」
「遊びでも、長年一緒にいたら情がわくって言うだろ? それと同じで、少しずつ距離を縮めていけばいいんじゃない?」
すぐに本気になってもらうのではなく、徐々に、ということか。
長期戦になりそうだ。
「俺にできると思うか?」
「最長で何ヶ月だっけ?」
「由加で三ヶ月。それ以外はもっと短いか、すぐ別れた」
「ほんと、もったいないのな、お前」