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月光の誘惑《番外編》
第2章 月下の桜(二)

「あかり、シャワー浴びよ。先に暖めておいてあげるから」
「ありがと、翔吾くん」

 気だるげに返事をして、あかりはおしりを上げたまま俺を見つめる。
 唇が「キス」とねだる。
 小さくなった陰茎を引き抜いて、掛け布団ごとあかりに覆いかぶさって、キスをする。

「気持ち良かった……イッちゃった」
「ん、俺も気持ち良かった」
「……背中に出したかった?」
「いや、中がいい。一緒にイケるなら、中で果てたい」

 あかりが抱きついてくる。ひんやりとしていて、気持ちいい体。
 俺は火照りすぎか。まぁたくさん動いたもんな。

「私も、中がいいな」
「じゃあ、いつも中を汚してあげる」
「うん、ありがと」

 そこは絶対「ありがとう」じゃないだろ。あかりは変わっている。
 本当にあかりは、「愛してくれない」一点を除けば、理想的な女だ。

 理想的な――セフレ、だ。

 あぁ、もう、どうして。
 あかりが「彼女」じゃないのか。

 何度でも体を重ねて、好きだと言い続けよう。
 そうしたら、少しは絆されてくれるだろうか。
 そうしたら、いつかは俺で我慢してくれるだろうか。
 ……いや、無理か。

 彼女の愛は、お金では買えない。
 そんな当たり前のことに、俺は今さらながら、恐怖するのだ。

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