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月光の誘惑《番外編》
第2章 月下の桜(二)

『私はなう送別会。お互いがんばろ!』

「なう」が変なところに入っているのがかわいい。ニヤニヤしてしまう。
 そうだな、つまらなくても、頑張ろう。とりあえず、洋介と杉田の仲を取り持ってやらないと。
『わかった、頑張る』と送り、トイレから出る。

「うわ、杉田!?」

 目の前にぼんやりとした杉田が立っていて、めちゃくちゃビビった。女子トイレはこっちじゃないぞ。

「杉田、どうした?」
「きもち、わる」
「吐くか? 女子Aみやびを呼ぶか?」
「じょし……? ん、桜井くんと外に出たい」
「外の空気吸ってくるか?」
「ん」

 さて、どこで洋介とバトンタッチしようかと考えていたら、杉田はさっさと出入口へと向かう。いやいや、一言断っておいたほうが。

「杉田、皆に一言……」
「みやびに言ってある。だいじょぶ」

 足取りはしっかりしている。ただ舌っ足らずなだけで、酔いはそこまで回っていないのかもしれない。

 コートもジャケットもなしで外に出たのは、やはりマズかったか。めちゃくちゃ寒い。雪こそちらついていないものの、真っ暗な曇り空。いつ降り出しても不思議ではない。すぐに体がガタガタ震え出す。

 杉田は店の前のベンチに座り、白い息を吐き出して手を暖めている。空を仰ぎ、ぼんやりと曇天を見つめる。

「杉田、早く中に入らないと風邪引くよ」
「やだ」
「風邪引いてもいいの?」
「いいよ。桜井くんが看病してくれるんでしょ?」
「しないよ」
「してよ」

 杉田が俺を見上げ睨んでくる。突っかかられている理由がわかんないんだけど。俺、杉田に何かしたか?

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