この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
月光の誘惑《番外編》
第2章 月下の桜(二)

「由加さんは看病したんでしょ?」
「付き合ってるときに、な」
「じゃあ、私と付き合って看病してよ」

 酔っ払いはタチが悪い。何で俺が絡まれないといけないのか。本当に面倒くさい。
 深々と吐き出した溜め息が白い。

「……杉田、中に入ろう。風邪引いても、俺は看病できな」
「私、まだ桜井くんのことが好き」
「……杉田」
「まだ好きなの! 忘れられないの! 私やっぱり、桜井くんのことが好き!」

 潤んだ瞳で見つめられても、どんなに愛の言葉を囁かれても、それには応じられない。

「ありがとう、でも、ごめん」
「私が大企業の社長令嬢じゃないから?」
「違う」
「私が、好きじゃないから?」
「違う。そうじゃない」

 そうじゃない。
 ……じゃあ、何なんだ?
 杉田じゃダメな理由。由加でも他の女でも、ダメな理由。
 俺は、何で、ダメなんだ?

「私、ほんと、桜井く、こと、好き」

 大粒の涙を流しながら、杉田は俺を見上げてくる。「修羅場か?」と、俺たちに気づいた人々は俺たちを避けて去っていく。店の入り口の前で何やってんだか。とんだ営業妨害だ。

「杉田」
「なんで、私、ダメな、の?」
「……」
「私、フツー、だから? あの、人、みたいに、キレイ、じゃない、から?」

 わかんねえよ。
 普通とか、かわいいとか、綺麗とか、そういう問題じゃない。女の問題じゃない。俺の問題なのだ。

/104ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ