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月光の誘惑《番外編》
第2章 月下の桜(二)
「翔吾くん、ありがと――んんっ」
――黙って。
グロスと口紅ごと唇を奪って、あかりの柔らかい体のラインに指を這わせる。
早く繋がりたい。けど、まだ我慢。舌を味わいながら、少しずつ窓際に追い込んでいく。
窓の外は、この時期だけのきらびやかなイルミネーションの海。赤に緑に、青に白。どんな明かりも、今目の前にいるあかりと比べたら、霞んでしまう。
俺が今一番欲しいのは――輝く海の中にいる、天使。
窓際に追い詰められて、困惑しているオレンジ色の女神。
「あかり」
「翔吾くん、窓、冷たいよ?」
「大丈夫。今から熱くしてあげる」
襟からネクタイを抜き取って、あかりの手首に巻きつける。強すぎないように、弱すぎないように、逃げられないように、捕らえる。
「今日は、そういうプレイ?」
「嫌い?」
「……嫌いじゃない」
なら、良かった。
二十センチほどある窓の縁にあかりを座らせて、キスをする。
やっぱり、あかりが一番綺麗だ。イルミネーションの海に、オレンジ色が映える。
ヒールのあるパンプスを床に落とし、ベージュのストッキングの上からつま先に舌を這わせる。押し殺したような甘い吐息が降ってくる。
舐って、キスをして、撫でて、少しずつ上へと移動していく。
オレンジ色の裾から太腿へと手を差し込み、いつもと違う手触りに、一瞬手を止める。
太腿の、肌に、触れた?