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六月のセイリング
第1章 読み切り短編

六月の長い日照時間は、午後のセックスを終えてホテルを出てもまだ、
街に初夏のきらめきを残しておいてくれる。
すこし涼しくなった夕暮れの宵風に吹かれながら、
隅田川沿いの遊歩道を、腕を組んで歩こう。
埒(らち)もない話に小さく笑いながら、
このままの時間がずっと続けばいいのに、なんて。。
初夏の時めきこそ、退屈な人生にあたえられる、神様からのささやかな、プレゼント。
それはまるで、凪の海を行く、あのヨットのように、
満ち足りて、おだやかにセイリングしてゆく。
〈了〉

