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第1章 3年ぶりに会う元教え子、美紀。

今日はなんだか1日ソワソワしていた。
少なからず、美紀に会うのが楽しみなのは隠せない。


午後の授業が終わり、職員室で事務作業を早めに終わらせ
久々にバスケ部の練習に出ようと思っている。


16:45
「一段落したから、行くか。」

席から立とうとしたところで
校長に声を掛けられた。

「健太郎先生、ちょっといいかな」


最近のやる気のなさを指摘されるのは分かっていた。


「まだ若いんだから、1年目の時のように、
もう少し授業と部活に力を入れてくれても良いんだぞ。
生徒からの評判は良いんだから、もう少し、

…と言っても、あの時の様なコトは避けてもらいたいがね。。」

…

まだあの時のコトを言っているのか。


小言と説教が長引いたせいで
部活の終了時間間近となってしまった。


小走りで体育館に向かうと、まだギリギリ練習が続いていた。

「良かった、間に合った！」

心でそう呟き、上がった息を整えながら、
体育館を見渡すと
遠目からでも、美紀がすぐ目に入った。

スラリとした体に、ミディアムロングの髪型、
綺麗なシュートフォームも変わっていない。


彼女は1年生にドリブルシュートを教えていた。


「美紀！」
健太郎は声を掛けた。

美紀は、ふっ、っと、呼ばれる方を振り返った

その時、


「あっっ！！アブナイ！」

美紀が振り返ったタイミングで、運悪く
1年生からのパスが、
美紀の横顔に当たってしまった。

「わぁぁ、御免なさい、美紀センパイ。。！」
その後輩は泣きそうになりながら誤っていたが、

「へへへ、
全然大丈夫、大丈夫。気にしないで！」

美紀はそう明るく後輩に言いながら、
恥ずかしそうな笑顔で
俺の方にパタパタと走ってきた。


「相変わらず、ドジだなぁ。」

「フフフ、そうですね。
3年ぶりですね、健太郎センセ。」


昔の様に、からかいながら俺のせいにしてくるかと思ったら
なんだかやけに素直な返しだった。

俺はちょっと焦って、自分の言葉をフォローする様に

「大丈夫か？ ちょっと見せてみろ。」

と、美紀の左ほほに触れた。


ほほはピンク色に少し腫れ上がっていた。
そして、目には涙が浮かんでいる。

痛いのに、後輩に気を遣わせない為に
やせ我慢しているのはすぐに分かった。