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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 聖夜の恋人
思いもよらぬ光の言葉を聞き、縣は暫く言葉が出なかった。
ようやく絞り出すように口を開く。
「…だから見合いをするのか?…お母様のため、家のため…。進歩的で革新的で闊達としていた君はどこにいったんだ?」
「縣さん…」
縣は皮肉めいた笑みを浮かべ、唇を歪め肩をすくめる。
「…見損なったよ、君を。君はそんな旧時代的なことに甘んじるようなつまらない人だったのか」
…こんなことを言ってはいけないと分かっているのに、止められない。
光が美しい眉を上げて、縣を眇めるように見た。
「…つまらない人?」
「ああそうだ。君は家の犠牲になるような古い女性ではなかった筈だ。自分の恋愛を反対されたら駆け落ちをし、貧しい生活すら厭わない…そんな君はどこに行ってしまったんだ?」
…こんな話をしたいのではない。
私が言いたいのはただ一つ…それがなぜ言えないのか。
「貴方にそんなことを言われる筋合いはないわ」
光がソファから立ち上がり、縣を見据える。
…濃い琥珀色の瞳が怒りの光を宿し、炎のように輝き出す。
…こんな時でも、光さんは美しいのだ…。
縣は熱く沸騰する頭の中で、静かに認めていた。
「…貴方に私の気持ちが分かる?貴方は所詮男だもの。自由に生きられるわ。
それに引き換え私は…結局は家を背負って生きていかなくてはならない。麻宮の家を途絶えさせるわけにはいかないの。
…身体の弱いお母様をこれ以上心配させるわけにはいかないのよ…!」
強いと見えていた光の眼に初めて脆く頼りなげな色が浮かぶ。
縣は息を呑んだ。
自分の行き過ぎた発言を取り消そうと、口を開く。
しかし、光はそれを拒絶し言い放つ。
「…私はお見合いして結婚するわ。相手は華族の次男坊で、内務省のエリート官僚よ。多分頭の固い堅物。私も彼もお互い愛してもいない。打算だけの結婚。でもいいの。彼は麻宮の家に養子に入ってくれるそうだから。つまらない女と思いたければ思えばいいわ」
縣は立ち去ろうとする光の腕を取る。
「光さん…!待ちなさい!」
「離して!…貴方は私のことなんかなんとも思っていないのだから!放っておいて…!」
縣の手を振り解こうとする光を、縣は逞しい腕で羽交い締めにし、光の顎を捉え荒々しく唇を奪う。
光の大きな瞳が見開かれる。
「…んっ…!」
「…光さん…!」
光の華奢な身体を強く抱きすくめ、縣は激しく光の唇を貪る。








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