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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 聖夜の恋人
二階の奥の自室に入るやいなや、縣は光を壁に押し付けると激しく唇を奪う。
「…んっ…あ…あ…ん…」
光の可憐な傷つき易い花のような唇をまるで食べ尽くすかのように荒々しく食む。
「…あ…っ…んん…!」
光が苦しげに喘いでもその力を緩めることはない。
角度を変えて何度も唇を奪い、舌を絡め、光の口内を犯し尽くす。
「…あ…あ…っ…ん…あがた…さ…」
「…光さん…愛している…」
ようやく唇を解放し、改めて光の造り物のように美しく整った顔を熱の篭った眼差しで見つめる。
「…愛しているよ…もっと他に君を賛美する言葉はたくさんあるのに…これ以外の言葉が見当たらない…だめだな、私は…」
苦笑する縣は、真っ直ぐな成熟した男の魅力に溢れ、光の胸はときめいた。
光は長く濃い睫毛の影から煌めく瞳で縣を見つめる。
「…いつから…?」
「うん?」
光の華奢な硝子細工のような指が、縣の男らしく整った顔のラインを愛しげに辿る。
「いつから私を好きだった?」
勝気なお伽話の姫君のようなきらきらした瞳…
これを手に入れたかったのだ…。
光の髪を愛撫する。
美しく結い上げた髪が少し解れ、ため息が出るほど艶っぽい。
「…ピガールのあのいかがわしいクラブの舞台で、君を見た時からだ」
「…そんなに前から?」
光は目を見張る。
縣が堪らないように華奢な肩を抱きしめ、大きな手で、光の小さな顔を引き寄せ、額を合わせる。
「ああ、そうだよ。あんな三流クラブの安っぽい舞台に立っていたのに、君はまるで中世の気高い姫君のように穢れなく光り輝いて美しかった。…なんて人だ…!と魅せられた。…最初から君の勝利だ」
光の僅かに開いた唇を奪う。
何度奪っても飽くことのない禁断の唇…。
甘く柔らかく、艶やかに縣を誘うからだ。
「…ん…っ…待って…」
自分が陶酔の沼に陥る前に、縣に聞きたいことがあったのだ。
「…何?」
縣の瞳の中に自分が映っているのを夢のように感じながら、光は尋ねた。
「じゃあなぜ、私を拒んだの?…私のことを何とも思っていないと突き放したわ」
今でもあの衝撃は胸に残っているのだ。
縣が済まなそうに視線を落とす。
そして、光を部屋の中央に連れ出す。
広い部屋の壁にバランス良く飾られているフェルメールの名画を見せる。
「…私はフェルメールが大好きでね。こつこつと集めてきた」
好事家が目を輝かせるような素晴らしい作品達だ。
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