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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 16区の恋人
数日後、縣はある決意を固めて光のアパルトマンを訪ねた。
昼間見ると尚更に街全体の貧しさと危険な雰囲気が伝わって来る。
ジプシーの少年達が街角で屯しながら、身なりの良い縣を値踏みするようにジロジロと見る。

「…バルベスはパリで一番危険なカルチェだ。…ヒカルのように若くて美人な女の子が住むのは感心しないな…。毎日のように暴力事件が起こるしね…」
帰り道、ジュリアンが心配そうに呟いていたことを思い出す。

粗末なドアをノックする。
ほどなくして光が顔を覗かせた。
光は少し驚いた顔をして
「…どうぞ」
と縣を中に招き入れた。

帽子を取り中に足を踏み入れ、縣は絶句する。
狭い部屋の中にはベッドと小さなテーブルと椅子以外何もなかった。
しかも裏窓が一つしかないので、昼なのに薄暗い。

「…貴方の家のメイドですらもっと豪奢なお部屋よね」
光は冗談交じりに笑う。
「…ああ…少々驚いているよ…」
率直に答える縣に光は両手を広げて見せる。
「…着の身着のまま逃げ出したから…何もないのよ」
粗末なブラウスにスカート…。
いつも最新のモードファッションに身を包んだ光と同一人物とは思えない。
…しかし、光は美しかった。
髪は後ろに束ねたままで、化粧気のない顔は真珠のようにしっとりと白く、琥珀色の大きな瞳は美しく煌めき、見惚れずにはいられないほどの美に満ち溢れていた。
縣の視線を居心地悪そうに目を伏せる。
「…昔の私と比べないで。…どうせ見すぼらしいと思っているんでしょう」
縣は穏やかに首を振る。
「…いや。こんなところにいて粗末な身なりで…でも君は変わらずに美しいと感心している」
光は咄嗟に縣を見上げ、顔を背けた。
「揶揄うのはやめて」
「揶揄ってなんかいないよ。正直な気持ちさ」
二人は一瞬見つめ合ったが、光からすぐに目を逸らした。
「…お茶くらい入れて差し上げたいのだけれど、昼間は暖炉の火を入れていないのよ」
冷え冷えとした小さな暖炉を指差す。
縣は優しく微笑む。
「お構いなく。…今日は君に仕事を紹介しに来たんだ。」
「仕事?私に?…どんな仕事?」
「ああ。…私の秘書として働いてくれないか?…但し、君が16区のジュリアンの屋敷に住み込むことが条件だ」
光は美しく煌めく瞳を見開いた。
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