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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 16区の恋人
アンヌがメイドとお茶の支度を整え、退出したのを見届けると光は悪戯っぽく肩を竦めた。
「貴方にドレスを誂えて貰って良かったわ。…普段の身なりだったら口も聞いてもらえなかったわね、きっと」
ジュリアンが光の前に立ち、両手を広げて感激する。
「ヒカル、すごく綺麗だ!アガタは趣味が良いね!」
縣も満足そうに光のドレス姿を眺めて目を細める。
「良く似合うよ。やはり君には美しい衣装が相応しい。…他にも何着か外商に持って来させた。君の部屋に置いてあるから後で合わせてくれたまえ」
光は眉を顰める。
「そんなに必要ないわ。返しておいて」
縣は鷹揚に笑う。
「君が私の秘書になってくれたお祝いさ。受け取ってくれ。私は綺麗に装ったレディを見るのが好きなんだ」
光はつんとそっぽを向く。
「私は貴方を喜ばせるために秘書になった訳ではありませんから。…フロレアンのために仕方なくなんだから!貴方に1000フラン返すためなんだから!」

…と、くすくすと縣が笑うのを
「ちょっと…!なにが可笑しいのよ」
とムッとする。
「失礼。…ようやくいつもの君らしくなってきたと思ってね。高慢で気位が高いお姫様…麻宮光はこうでなくては!粗末な身なりで意気消沈している君なんて君じゃないからね」
「なんですって?」
光は縣に詰め寄り、きらりと光る驕慢な猫のような瞳で睨みつける。
「…貴方こそやっぱり嫌な男だったわ。一見ハンサムで慈悲深くて非の打ち所がない紳士みたいに見えるけれど、本当の貴方はそうじゃない。…あらゆる女性を見下して面白がっているんだわ。だからいつまで経っても恋人ができないのよ!」
ジュリアンはおろおろする。
「ヒ、ヒカル…い、言い過ぎじゃないかなあ…」
「縣さん。貴方のご好意には心から感謝しているわ。私は貴方のご好意に報いる為に1日でも早く借金を返してここを出て行きますから、ご安心なさって!…ではご機嫌よう」
光は恐ろしい勢いで捲くし立てると肩を聳やかし応接間を後にした。
「ヒカル!」
慌てるジュリアンを他所に、縣は顔色ひとつ変えずに寧ろ可笑しそうに笑い続ける。
「フフ…相変わらずの跳ねっ返りだ」
そんな縣に呆気にとられる。
「アガタ…」
「うん?」
「…なんだかすごく楽しそうだね…」
「そうか?…好敵手が戻ってきて嬉しいだけさ」
「…ふうん…」
ジュリアンはまだ笑っている縣を不思議そうに見つめた。


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