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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 16区の恋人
ロッシュフォール夫人に光の紹介を終えたジュリアンは舞踏室に光を誘う。
舞踏室では既に多くの男女が室内管弦楽団の奏でるヨハンシュトラウスの調べに乗りワルツを踊っていた。
「ヒカル!約束だよ。一番最初のワルツは僕と踊って!」
光はにこやかに頷く。
「いいわよ、ジュリアン」
ジュリアンは光の美しい手を取り、ほっそりとした腰を抱く。
皇帝円舞曲の優美なメロディーに合わせ、二人は踊り始める。
日本ではダンス講師をしているジュリアンのリードは巧みで、光は溢れるような笑みを浮かべて見上げる。
「素晴らしいリードだわ。本当にお上手ね」
「褒めて貰えて嬉しいな。ヒカルもすごく上手だ。こんなにダンスが上手い女性は久しぶりだ。…アヤカさんは上手いんだけど、気が強いからなあ…」
「アヤカさんて…梨央さんの恋人ね?」
「そう。恋人で姉妹…。全く日本の華族はフランス貴族よりクレイジーだよ」
苦笑するジュリアンに光は尋ねる。
「梨央さんは幸せかしら?」
「うん。それはもう…。幸せできらきら輝いているよ」
光は優しく微笑んだ。
「…そう。梨央さんが幸せならそれでいいわ…」
マダムロッシュフォールの溺愛する美貌の孫、ジュリアンがオリエンタル美女と踊るワルツは舞踏室の人々の注目を集め、特に光の美しさとダンスの巧みさに賞賛の溜息が漏れた。
縣はロッシュフォール夫人を恭しくエスコートしながら、二人を微笑ましく眺める。
ロッシュフォール夫人は最愛の孫ジュリアンを愛しげに眺めながら、そっと縣に囁く。
「マドモアゼルヒカルは本当に美しいわ。…ジュリアンはすっかりお気に入りのよう…けれどジュリアンは姉のようにヒカルを慕っているみたい」
「さすがはロッシュフォール夫人、ご明察でいらっしゃいますね」
「ではヒカルの恋人は貴方なの?ムッシューアガタ」
縣は穏やかに微笑みながら首を振る。
「いいえ、ロッシュフォール夫人。彼女にはフランス人の美しい恋人がいます」
ロッシュフォール夫人は意外そうに眉を上げる。
「あらまあ、そうなの。…貴方と彼女はとてもお似合いに見えたけれど」
縣は恭しく頭を下げる。
「恐れ入ります。…残念ながら彼女は私には興味がないようです」
「そうなの。…けれど恋は気紛れなもの。いつ貴方とヒカルの元にプットーが訪れるかもしれなくてよ?」
マダムロッシュフォールは珍しく悪戯めいた表情で微笑んだ。
舞踏室では既に多くの男女が室内管弦楽団の奏でるヨハンシュトラウスの調べに乗りワルツを踊っていた。
「ヒカル!約束だよ。一番最初のワルツは僕と踊って!」
光はにこやかに頷く。
「いいわよ、ジュリアン」
ジュリアンは光の美しい手を取り、ほっそりとした腰を抱く。
皇帝円舞曲の優美なメロディーに合わせ、二人は踊り始める。
日本ではダンス講師をしているジュリアンのリードは巧みで、光は溢れるような笑みを浮かべて見上げる。
「素晴らしいリードだわ。本当にお上手ね」
「褒めて貰えて嬉しいな。ヒカルもすごく上手だ。こんなにダンスが上手い女性は久しぶりだ。…アヤカさんは上手いんだけど、気が強いからなあ…」
「アヤカさんて…梨央さんの恋人ね?」
「そう。恋人で姉妹…。全く日本の華族はフランス貴族よりクレイジーだよ」
苦笑するジュリアンに光は尋ねる。
「梨央さんは幸せかしら?」
「うん。それはもう…。幸せできらきら輝いているよ」
光は優しく微笑んだ。
「…そう。梨央さんが幸せならそれでいいわ…」
マダムロッシュフォールの溺愛する美貌の孫、ジュリアンがオリエンタル美女と踊るワルツは舞踏室の人々の注目を集め、特に光の美しさとダンスの巧みさに賞賛の溜息が漏れた。
縣はロッシュフォール夫人を恭しくエスコートしながら、二人を微笑ましく眺める。
ロッシュフォール夫人は最愛の孫ジュリアンを愛しげに眺めながら、そっと縣に囁く。
「マドモアゼルヒカルは本当に美しいわ。…ジュリアンはすっかりお気に入りのよう…けれどジュリアンは姉のようにヒカルを慕っているみたい」
「さすがはロッシュフォール夫人、ご明察でいらっしゃいますね」
「ではヒカルの恋人は貴方なの?ムッシューアガタ」
縣は穏やかに微笑みながら首を振る。
「いいえ、ロッシュフォール夫人。彼女にはフランス人の美しい恋人がいます」
ロッシュフォール夫人は意外そうに眉を上げる。
「あらまあ、そうなの。…貴方と彼女はとてもお似合いに見えたけれど」
縣は恭しく頭を下げる。
「恐れ入ります。…残念ながら彼女は私には興味がないようです」
「そうなの。…けれど恋は気紛れなもの。いつ貴方とヒカルの元にプットーが訪れるかもしれなくてよ?」
マダムロッシュフォールは珍しく悪戯めいた表情で微笑んだ。