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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 16区の恋人
二人の眼差しが濃密に絡み合う。
…先に視線を外したのは縣だった。
そして、握っていた光の手もそっと外す。
光の手が無意識に縣の手を求め、動いた。
縣はそれから目を逸らし
「…すまなかった…」
「…え?」
「…行きなさい…」
光の瞳が失望に曇る。
「…縣さん…私…」
言葉を遮る。
「…彼が待っている。…行きなさい」
光は何か言おうとしたが、それはとうとう言葉にならず、静かに立ち上がり、スカートの衣擦れの音を立てながら部屋を後にした。
縣は暫く暖炉の爆ぜる火を見つめていたが、ゆっくりと立ち上がると窓辺に近づいた。
レースのカーテンを少し手繰り上げる。
窓からは玄関前に佇み、光を待つフロレアンが見えた。
ややもしてフロレアンに光が歩み寄る。
満面の笑みでフロレアンは両手を広げ、光を抱きしめた。
そして、愛おしげに光にくちづけする。
フロレアンは笑いながら何かを語りながら、光を門の外にいざなう。
光は少し歩みを止め、縣の部屋の方を見上げた。
縣が素早くカーテンを下ろすと、光は何かを諦めたような表情をして小さく溜息を吐き、フロレアンに肩を抱かれて門を出た。
縣は瞼を閉じた。
「…仕方ないじゃないか…。光さんにはフロレアンがいる。…引き止めても彼女を苦しめるだけだ…」
彼は小さく呟くと、そのまま窓辺を離れた。
…先に視線を外したのは縣だった。
そして、握っていた光の手もそっと外す。
光の手が無意識に縣の手を求め、動いた。
縣はそれから目を逸らし
「…すまなかった…」
「…え?」
「…行きなさい…」
光の瞳が失望に曇る。
「…縣さん…私…」
言葉を遮る。
「…彼が待っている。…行きなさい」
光は何か言おうとしたが、それはとうとう言葉にならず、静かに立ち上がり、スカートの衣擦れの音を立てながら部屋を後にした。
縣は暫く暖炉の爆ぜる火を見つめていたが、ゆっくりと立ち上がると窓辺に近づいた。
レースのカーテンを少し手繰り上げる。
窓からは玄関前に佇み、光を待つフロレアンが見えた。
ややもしてフロレアンに光が歩み寄る。
満面の笑みでフロレアンは両手を広げ、光を抱きしめた。
そして、愛おしげに光にくちづけする。
フロレアンは笑いながら何かを語りながら、光を門の外にいざなう。
光は少し歩みを止め、縣の部屋の方を見上げた。
縣が素早くカーテンを下ろすと、光は何かを諦めたような表情をして小さく溜息を吐き、フロレアンに肩を抱かれて門を出た。
縣は瞼を閉じた。
「…仕方ないじゃないか…。光さんにはフロレアンがいる。…引き止めても彼女を苦しめるだけだ…」
彼は小さく呟くと、そのまま窓辺を離れた。