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愛憎
第18章 奮起
その翌日、誠は早速、アルバイト情報誌を片手に朝の電車にいた。

(いつも…俺が痴漢してた時刻…)

あの時を思えば本当に偶然だった。


ーー

高校の入学式、初めて使う通学電車。

(うわぁ…こりゃひでぇ…)

そう思いながら、停留所が来る度に人に押される。

窓際にいた筈の誠はいつの間にか、人に押され、手摺の掴めない、真ん中付近まで移動していた。

人が一気にいなくなる都心部は、誠の学校の最寄り駅の二つ先にある。

(最寄り駅まで、まさかこんな感じ…?
時刻もうちょい早めようかな…)

誠はげんなりし、そんな事を思っていたら、見覚えのある小柄な女の子が電車に入って来た。

(あれ…?あれ、萌じゃね?ここ確か最寄り駅…)

そんな事を思っていると、人の波に押されて、誠の前にやってきたのだ。

転びそうになっているのを、慌てて、腰の部分を支える。

朝シャンに入って来た後なのか、いつも萌が誠を翻弄するシャンプーの香りが、萌と誠の間が近いのかいつも以上に誠を翻弄させる。

誠はドキドキしながら

「大丈夫?」

と、萌に尋ねた。

「あ、はい、大丈夫です」

萌は誠に気付いていないらしい。

誠は誘惑に勝てず、萌の体をまさぐり始め、その後、一つ前の時刻の電車を萌に伝え、萌を翻弄させる事になった…。



ーーー


(思えば、俺がいつもの口調で話しかければ、こんな事にならなかったかもな…。)


誠は後悔の念が襲う。
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