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愛憎
第19章 キス
成り行きを、ゆうには全て話してしまったが、丸山先輩には概要しか話さないことにした。

先輩も好きな人がいるけど、男性である…そう、萌は思ったからだ。


「はぁぁ〜…なるほどね…誠が君に痴漢を…なんか、最近の君達、ちょっと異様?と言うか、部活でも話すのに、話さなくなってるから、どうしたのかな…そんな風に思っていたんだ。」

「ごめんなさい…空気乱して…」

「いや、謝る事はないよ。君に何も悪い事はないからね。
…相談したのがゆう先生で良かったと思うよ」

「え?」

萌は顔を上げる。

「多分君が、同級生に話したなら、瞬く間に噂になったりして、誠は学校に来れなくなったりしてたと思う。
家族に言ったとしても、誠と君の縁は切れてた…俺はそう思う。」

「そう…かもしれないですね…」

「ま、ゆう先生も、今回は無茶言い過ぎだとは思うけどね」

丸山は苦笑する。

「君にそんな難しい課題を出しているとしたら、誠にはもっと難しい課題を出している…そう思わないかい?」

「そ…うかもしれないですね…」

「多分、ゆう先生が、演技しろって言ったのは、何か意図があると思う。
君、誠のこと、好きなんじゃない?」

「…え?」

「なんか挑発してキスされたんだろ?
それって、君の本心が出たんじゃないの?」

丸山は萌に聞く。


「確かに…まこちゃんが痴漢だと分かった時、慌てふためくまこちゃんを見て、悲しい気持ちになりました…」

「それってどうして?」

「なんで、痴漢とかじゃなくて、私とそう言う関係になってくれないんだろうって、思っちゃったんです。」
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