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愛憎
第19章 キス
「そういう関係って?」

萌は俯きながら

「…付き合う関係になってくれないのかって…」

「あはは、なるほど。」
丸山は笑い出す。


「多分ゆう先生は、その君の気持ちを、ゆう先生に話した時に感じ取ったんじゃないかな…って思うよ」

あ…、萌は気付く。

「だから、まこちゃんが私にノート渡すようにしたりとか、演技をして、どう言う気持ちになるのか…、それを感じさせるために…?」

「そう。ちょっと、乱暴なやり方だけどね。
お互い傷つくしさ。さっき、君が泣いて苦しんだように。
でも、多分一番てっとり早い方法だったんじゃないかな…
俺は思うよ。
多分ゆう先生も、それに気づいてる。」

「そうかも…しれないですね」


そう言ってると

「あら、よく分かったわねぇ」

ゆうが準備室に入って来た。

「ごめんね、萌ちゃん。
傷付けるやり方して…。
でも、まこちゃんにちゃんと現実…あなたがいなくなることの怖さ…そう言うのを感じ取って貰いたかったの。」

「ゆうちゃん…」


「もう限界だーって思ってるでしょ?行きなさい。まこちゃんなら、教室で友達と話してるから。
好きとかはまだ分かんなくて良いから。
素直にノートありがとうって、受け取ってあげて?
きっとまこちゃん、今の倍、頑張るようになるはずだから。」

萌は笑顔になり

「うん!」

そう言って、準備室を飛び出していった。


「もう少し苦しめる予定だったでしょ?先生。」

ゆうはにこにこしながら

「ううん。日に日に萌ちゃんの表情曇って、苦しそうになってるの分かってたから。
今の全部聞いた。
私が引き出そうとしたのは、その萌ちゃんの気持ちだったのよ…」

と、言った。

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