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愛憎
第4章 出会い
その時少年は、ぼんやりと窓を眺めていた。
萌に痴漢をするようになったのはいつからだっけ…と、記憶を辿る。
いつも、自分の名前を呼び、笑顔を向ける萌に、少年は恋に落ちて行った。
それがいつの日にか、欲望になった。
しかし、萌は人の事に対しては敏感に察知するが、自分の事になると無頓着な性格。
だから、自分が萌に恋に落ちていると言う事に全く気付かなかった。
もっと触れてみたい…。
そう思い、行動に移したのは中学2年の秋の事だった。
満員電車の中で、萌を見つけ、声を掛けようとしたが、ふと、思い留まり、彼女に触れる事にした。
痴漢なんかやっちゃいけない。
犯罪行為だ。
そんな事は分かっていた。
けれど、自分の欲望に勝てなかったのだ。
少年はどこを触ると女性が不快感を現さないか…から勉強した。
一番最初の痴漢の時、萌の体がぴくんと動く反応に喜びを感じた。
自分が痴漢だとバレるのが怖くて、触るか触らないかで留めたが
「卒業を機に」
…枷が外れた。
高校入学の時、触れた萌の体は…とても柔らかかった。
(さぁ、次はどうやって気持ちよくなってもらおうか…)
そう思ってる内に教室の外から足音が聞こえて来た。
少年は欲望から自分をシャットアウトした。
(さぁ、ペルソナをまた付けよう)
あの素顔は萌だけのもの。
萌にしか見せないもの。
……そう思いながら……。