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第5章 その夜

お風呂上がり。
自分の部屋に入った萌は今日のことを思い出していた。

（楽しかったなぁ〜！まさか、スペインを吹く日が来るなんて…）

スペインとは、1972年にチック・コリアと言う作曲家が作曲した、世界の音楽家達に愛されてるジャズである。

イントロから中盤まで各楽器が息を合わせないと成り立たない。
その後もアドリブがとてもカッコ良く、各楽器が目立つ楽曲である。

（ゆうちゃんってやっぱりすごいなぁ…）
と、萌は思う。

課題曲は部長と顧問が相談しあって決める。

その中でも、
「やって楽しい！」と思える曲をセレクトして、課題曲を決めるのだと言う。
今日の音合わせ後
「どうだった？」
と、聞いて来た部長が、
キラキラしながら感想を言う萌に、澤村先生がどう思い、吹奏楽部と向き合っているのかを知ったのだ。

（ゆうちゃんは、看護師としても、先生としても、きっと一人一人と向き合える人なんだ…）
と。

やっぱり、私もそんな風になりたい。と、萌は思う。

目指す人と一緒に働く事はなくても、そうなりたい…と。