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愛憎
第13章 怒り
次の駅で二人は下車し、駅の隣の公園へ向かう。

砂場と、ブランコが二つ、ベンチがあるだけの小さな小さな公園。


萌は先ほどまで感じていた怒りを忘れ

「わぁ〜、ブランコだぁ〜!二人で良く乗っていたよね」

と、誠に振り返る。







ーー無事退院し、安静にしなければならない時期を越し、ようやく登校できるようになったあの頃。

放課後、ランドセルを鉄棒付近に放り出し

『萌ちゃん!ブランコ、どっちが大きく揺らせるか競争しよ?』

『うん!』

と、ブランコに走り出していた。


大きく揺れるのは決まって誠。
でも、誠は空を見上げながら

『ねー、あの空何に見えるー?』

『うーん…地図?』

『どこの?』

『北海道!』

『えぇ?僕、そんな風に見えないよ〜』

『じゃあ、何に見えるの?』

『三角形!』

『私とおんなじような答えじゃないー!』

夕やけが照らされるまで、鉄棒やアスレチックもやってたっけ。



あの時はいつも二人で遊んでいた。
誠のお父さんが再婚するあの時まで…。


萌は回想をしていた。
同じく誠も回想していたようで、

「そうだな…」

と、懐かしい表情を浮かべている。

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