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愛憎
第14章 涙
「萌ちゃん、まず場所を変えようか。」

ゆうは萌に言う。

時計を見ると、17時45分。

リミットが近づいている。


「旦那も、娘も今日は家にいないから、私の家に行きましょう?」

「え、良いの?!」

萌は申し訳なさそうに言う。

「うん。今日は何食べようかなぁ〜って思っていたの。
萌ちゃん何食べたい?」

「オ…オムライス…」

萌はおずおずと言う。

「オムライスね。了解。
あと、明日は休みだし、私の家でお泊りしちゃいましょ?
ご家族に心配かけさせちゃいけないから、お母さんに電話してくれる?」

と、ゆうは言った。

「だ、大丈夫?」

「平気平気♪それより、今日は家の中がガランとするから、寂しかったの」

そう言って、ゆうは萌が飲んでたカップと、自分が飲んでたカップを持ち、流しで洗い始めた。

そして、

「さぁ、行きましょう?」

そう言って、保健室を出た。

職員室に寄り、自分の荷物を取ってくる。

萌は職員室の向かいにある窓をボーッと眺めてた。

(もしかしたら、萌ちゃんも現実を受け入れていないかもしれないな…)

ゆうはそんな事を思った。


ゆうは萌に
「萌ちゃん、お待たせ」

そう言うと、

萌は

びくんっ!と振り向き

「あ、はい…」


と、俯き加減に言った。
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