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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第2章 憧れの……
「お兄ちゃん…どうして家にいるの?」
「ははっ、どうしてって──…どうしてだい?」
ワンルームタイプなので玄関から部屋の全てを見渡せるはずが、廊下の途中で腰をかがめて冷蔵庫を物色している青年の身体で遮ぎられる。
目の前の彼は冷蔵庫の扉を開けたまま、玄関でローファーを脱ぐ花菜に聞き返した。
「だって今夜は大学の人たちと飲み会でしょう?」
「いや僕は行かないことにしたから、って、え? 花菜はそれを誰から聞いたの?」
「お兄ちゃんが昨日、電話で話してるのを聞いたもん。クラス会があるから来いって、相手の人に誘われてたよね」
「ああー…聞こえていたんだね」
いくら昨晩の花菜が宿題に集中していたとはいえ、ワンルームなのだから通話内容が筒抜けなのは当たり前だ。
そんな当たり前のことに気が回らないほど…彼は花菜の言葉が心外なようだった。