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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第7章 赤いシルシ

「花菜が泣いているのが見間違いでないなら、僕はここに警察を呼ぶ」

「……」

「それが困るなら早く彼女から離れてくれ」

スマホを取りだし、彼は段を上った。

不破たちと同じ三階の踊り場に足を付け、発信画面が見えるように掲げる。


だがそれに不破は狼狽えなかった。

「通報して構わないと言ったら、どうする」

「…脅しだと思うのかい?」

「…別に」

不破は花菜を離さなかった。

顎をわし掴む手も、蜜口に食い込む指もそのまま。

その状態で相手の出方を確かめ…観察している。

「この女に用があるなら他の方法を考えろ」

「…僕は暴力が好きじゃない」

「そうか、なら……。今すぐこいつを犯してやろうか? 警察の到着まで泣き叫ぶこいつを見物しとけよ」

「……!」

不破は相手を挑発した。

彼は、突然現れたこの男が何者かを見定めなければならなかった。

と言ってもそれは、彼の単なる興味の範疇(ハンチュウ)にすぎないのだが──。

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