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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第8章 洗ってあげる

このままじゃあ心臓も止まってしまう。

花菜は伊月の瞳を一秒も見ていられなかった。

言われた通り浴槽に入り、ふちに腰を下ろした。




「──あッ」

すると座った花菜の背中に泡立てた石鹸がぬられる。

「ん……//」

ヌルりとした感触に思わず零れた色っぽい声──

それは彼女を困惑させた。

急いで唇を噛んだものの、耳まで一気に赤くなる。

「どうしたの?」

「な…、なんでもないの。ごめんなさい」

肩から腰の線を、泡をまとった伊月の手が撫でていく。

「……どうして花菜が謝るんだい」

指の曲線がカラダの曲線と重なり──

震える肌を、石鹸の膜が覆った。

寒いわけじゃない。バスルームは十分に温かい。

怯えているわけでもない。彼女は大好きな兄を恐れたりしない。

それでも、伊月の手に合わせてフルりと震える彼女の肌は、わかりやすく粟立っていた。

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