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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第9章 俺はお前に興味がある
「……ハァ」
何に対してかわからない溜め息が、花菜の口から零れた。
今日、彼女は学校を休んでいる。
病気じゃないからずる休みだが、あんな事があって一日そこらで立ち直れるわけがなく…。
学校へは伊月が連絡してくれた。
だから彼女はずっとアパートから出なかった。
「洗濯物とりこまなきゃ…」
一日中…何もせずに過ごし、あっという間に外は薄暗くなっている。
夕飯を作る気力もないけれど、せめて洗濯物くらいは伊月が帰る前にたたんでおこう。
仕送りのダンボールをいったん放置して、花菜はベランダに出た。
物干し竿には二人分の洗濯物が干してあり、昨日汚してしまった制服もしっかり乾いている。
「お兄ちゃんのTシャツ、大きいなぁ…」
伊月が気に入って何枚も持っている、襟ぐりが広めの白いカットソー。それをハンガーから外しながら、彼の背丈の長さを実感する花菜。
伊月は線が細いから気付きにくいが、実はクラスの男子の誰よりも背が高い。
それに比べて自分の服は──
「……なんで小さいままなんだろ」
横のハンガーにかかっている花菜の服は、レディースのSサイズだ。
嫌だな
花菜は自分の身長について不満だった。