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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第9章 俺はお前に興味がある
「渡しに来た」
不破が取り出したプリント。
それは花菜のクラスの配布物だ。
「それを届けにわざわざ先輩がって…っ…!? へ、変ですよねそれ」
「……」
恐る恐るベランダから身をのりだす花菜。
学校を休んだ同級生にプリントを届ける…というのは聞いたことがあるけれど
クラスも学年も違う彼が持ってくるのは可笑しい。
「当たり前だろう。裏があるに決まってる」
「裏って…」
「お前の住所を聞き出すため」
「……っ」
「──…で、こうして居場所を突き止めた…わけだ」
怖すぎることを平気で言う男だ。
花菜は顔がひきつった。
なんてタイミングが悪いんだろう…。もしベランダに出ず部屋の中に閉じこもっていたら、彼に家を突き止められることもなかったかもしれないのに。
もう、逃げ場がない。
「…まぁ、お前の担任からここを聞き出すのは時間がかかったけどな」
それもそうだろう。
普段から素行の悪さで注目を浴びる不破が、配布物の届け人を申し出るなんて怪しすぎる。
住所を教えるのをしぶったなら最後まで隠し通してほしかった。
こんな男に住所を伝えてしまった担任の教師を、花菜は恨むことになる。