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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第9章 俺はお前に興味がある
わたしはこの目に撃ち抜かれたんだ。
冷たく、そして、達観した目。
卑屈なわたしとは正反対な…余裕を醸し出すこの男に。
「わたしは先輩に謝らなくていいんですか…?」
「…なら逆に聞くが、お前は何か間違ったことをしたのか」
問い返した不破はスタスタと彼女のアパートに近付く。
小汚ない前庭に置かれた郵便ポストにプリントを押し込みながら、抑揚のない声で話し続けた。
「悪党を選ぶとしたら、それは俺だった」
「……!」
そんな言葉が彼の口から出てくるなんて。花菜はベランダの手すりを掴んだ状態で固まっている。
「俺は…謝らないけどな」
無理やり押し込まれてシワになったプリント。
この時、不破の口許が僅かに笑ったような気がした。