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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第9章 俺はお前に興味がある

「…!?」

「……」

「ならよけい、先輩がここに来た理由がわかりません…」

少し饒舌になったかと思えば一転、再び口を閉ざした不破。

彼は道路に落ちている男物の下着を拾った。花菜がうっかり手を離してしまった伊月のパンツだ。

そしてそれを、プリントと一緒に郵便ポストへ入れた。

「不破先輩!」

そのまま立ち去ろうとする彼を花菜が呼び止める。

不破は、それに応じないが──。


“ 帰るの? ”

怒っているわけでもなく、謝りに来たわけでもなく。何をしに来たのかとんと見当の付かない相手に、花菜の心は振り回された。

少しずつ遠退く制服を着た後ろ姿。

彼女はその背中に試されている。

“ 馬鹿にされてるのかもしれない。何かの罠かもしれない。また…怖い目に合わされるかもしれない ”

呼び止める必要なんてないんだって…わかっては、いるのに。

関わってはいけない相手だと思い知らされたのは、つい昨日のことなのに。

「先輩! 待ってください」

「……」

「…ッ、降りますから」

すでに芽生えてしまった感情を彼女は捨てきれなかったようだ。

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