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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第9章 俺はお前に興味がある
「今からそこへ降りますから…!」
そう言い残し花菜は部屋に飛び入った。
ベランダから姿を消した彼女は、1分と経たないうちに今度は玄関から出てくる。
部屋着のまま外に出てきた花菜の靴は脱げかけており、かかとは踏まれてぺしゃんこだった。
──
「…追ってきたか」
「ハァっ…ハァっ…」
「お前はホンモノの馬鹿らしい。どうかしている」
自ら目の前に躍り出てきた彼女を、呆れ顔で不破が見やる。
「…本当 に…ッ…どうかしてます」
息を荒げる花菜は、そんな不破にある物を差し出した。
「…? 何のつもりだ」
「これを…先輩にお貸しします…っ」
差し出してきた物は予想外で
不審に思った不破が、彼女を横目に睨む。
冷たい視線に花菜の手は震えたが…ひねり出した僅かな勇気で言葉を続けた。
「わたしが持っている本のうちの、ひとつです」
「……」
「…っ…お気に入りのひとつです」
そう言って肩をすぼめ、花菜は顔を下ろした。