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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第9章 俺はお前に興味がある
彼女が差し出していた本が、フワリと重さを失って手から離れた。
「──…あっ」
地面を凝視していた目を咄嗟に上げて花菜が前を向くと…
不破が、彼女から本を受け取っていた。
“ …っ…先輩、聞き入れてくれた? ”
....
ドサっ
「──…!?」
「いらない…。読まない」
ところが不破は、受け取った本を直後に地面へ捨てた。
せっかく花菜が持ってきたお気に入りの一冊を、その表紙すら見ず、彼は手離した。
黒いアスファルトに叩きつけられた本のページがパラパラと動き──そして、中途半端に停止する。
「ひ…」
酷い
「酷いです…」
「知っている」
花菜の前で彼が本を手離したのはこれで二度目になった。
昨日はコンビニのゴミ箱に…
今日は、こうして地面の上に。
「その本に興味はない」
「そんな…っ…、まだチラリとも中を見ていないじゃないですか。せめて、少しでも読んでから」
「…必要ない」
「……っ」