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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第10章 兄妹だから
「──…もしかして、恥ずかしい?」
「え…っ」
「僕に任せるのが恥ずかしいかい? 洗濯物を干してたら、どうしても花菜の下着を触ることになっちゃうからね」
「…っ…//」
正解、だった。
どんぴしゃ。言い当てられた。
「図星みたいだね」
「うん……」
花菜の態度がわかりやすいのか
伊月の目が鋭いのか
どちらにせよ誤魔化す猶予もなかったから、花菜は渋々…頷いた。
街灯の明かりが弱いことが何よりの救いで
呆れているかもしれない伊月の表情を、確かめる勇気が彼女にはない。
「僕はお兄ちゃんなのに、…それでもかい」
「きょ、兄妹でも関係ないよ。恥ずかしいことは…恥ずかしいもん」
「関係ない……か。花菜は僕を"異性"として見ないの?」
「…っ…、見るわけない!」
「…、そぉ」
郵便ポストから出したプリントと下着を持って、伊月はひとりアパートへ向いた。
前庭に敷きつめられた砂利の上を革靴が踏む。
彼に背中を向けられた花菜は、まるで叱られたようにしょんぼりと肩を落とした。