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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第10章 兄妹だから

“ やっぱり、呆れるよね ”
自分だけが兄のことを変に意識している。
彼からすれば自分なんて…眼中にないどころか、お子さま扱いもいいところなのに。
いつまでも小さい癖に、女らしくない癖に…
羞恥心だけはいっちょまえに持っているなんてとんだ笑い種(グサ)。
「……」
お兄ちゃん……。
わたしは…まだ、お兄ちゃんにとって "女の子" なのかな?
急に、そんな疑問が頭に浮かぶ。
どうして突然こんな事──
何か原因があるとしたら、それは不破先輩のせいな気がする。
「……っ」
花菜はそっと自らの唇に指を添えた。
不破によって好き勝手になぶられた唇は、まだ冷めきらぬ昂りを持ってじんわりと温かい。
それに唇だけじゃない。
彼に掴まれたところ──触れられたところが、相手の体温をいまだに残していた。

