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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第10章 兄妹だから

吸い付いた唇が離れて。もう一度合わさった後に吐息が漏れる。漏れた息を閉じ込めるように角度を変えて二つが重なる。
しばらくそれが繰り返された。
互いの唇の感触も…形さえわかるくらいに念入りに繰り返された。
徐々に花菜の瞼が下りていく。
“ そっか…、わたしは昨日も ”
昨日もこうして彼女は目を閉じた。
それは照れが理由ではなくて、暗闇を求めて自らの意識が落ちたからだ。
忘れたいことがたくさんあったせいもある。
激しい労働を強要される哀れな奴隷が、やっと与えられた休息で久方ぶりの睡眠を貪るように──。
今の彼女も、昨夜とまた同じ感覚へと溺れていった。
「……はぁ……ん……ん」
「…ハァ」
彼女の下唇と上唇を、伊月が交互に唇で食む( ハム )。
内側の粘膜が擦れて、その力加減が心地く…
そんな心地よさは思考を鈍く( ニブク )した。
そのまま痺れが頭を麻痺させていくのに合わせ、花菜の口がだらしなく開いてきた。

