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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第10章 兄妹だから

「舌……出そっか」

「…っ、…し た…」

「そう、出してごらん」

促されるまま開いた口から少しだけ舌を突き出す。

すると舌先で軽く表面を舐められ、かと思えば彼の口内へ吸い込まれてしまった。

驚いた舌が萎縮して引っ込むと…

「ハァっ…!!」

伊月の舌が追いかけてきて、今度は花菜の口の中で絡まる。

“ お兄ちゃんのが…っ…わたしの、中に ”

湿った場所で舌と舌を擦り合わせる。

だが伊月は、不破のように強引に奥へ押し入ろうとはしなかった。

不慣れな動きの花菜をエスコートしながら時おり呼吸もさせてやる。

口付けの間は鼻で息ができないらしい彼女を気遣いながらだ。

“ 頭が……ぼぉっとする。すごい、これ、先輩にされたのとは違う。……優しくって気持ちいい ”

互いの粘膜を擦り合い、口の中を舐められるのがこんなに気持ちいいなんて知らなかった。



欲情と愛情


『 …どちらだろうね 』


簡単だ。これは愛情のキス。花菜はそうだと確信する。

だって優しいから。

口内をまさぐる舌は丁寧で思い遣りがあるから。

それに…やっぱり

伊月お兄ちゃんは、お兄ちゃんで

花菜と彼は、兄妹だから。

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