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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第10章 兄妹だから

「ぁ…‥ぁ…!」

「…声…可愛いね? 花菜…」

「ぅあ…っ、ハァ、…お‥にいちゃ…‥!?」

「もっと…いろんなトコロに、してあげようか」

花菜は気付いていなかった。

顔を思いきり背ける自分が、首のキスマークをちょうど伊月に見せ付ける状態になっていることを。


たとえ彼の囁きが、マシュマロを浮かべたホットチョコレートのように甘ったるい声色であったとしても──

その瞳に宿る想いは、決して穏やかではなかったのに

花菜は兄を見ていなかったのだ。


一旦 顔を離した伊月が、今度は鎖骨を狙って吸い付くと、彼女はますます目を固く閉じた。

パジャマの襟からのぞく肌を、伊月が順に舌と唇でなぞっていく。

「‥あ…‥…ッ はぁ、い、つき……お兄ちゃ…!!」

花菜はハの字に眉を寄せて息も荒く兄の名を呼んだ。

もう彼の支えが無いと自立していられないくらいに…下半身が使い物にならない。

たってこれだけでと…そんな風に思われそうなことでも、花菜にとっては激しすぎた。

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