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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第11章 虚しさという名の快楽
僕は駄目だね
結局…無理だったんだ
いつまでたっても溺れたまま…
僕は僕なりにあがいたところで、出てこられなかった
“ すまないだなんて、勝手な言葉だ ”
キッチンまでのろのろと歩いた伊月が、空になったグラスをシンクに置いた。
花菜がココアを飲んだコップも一緒に、水につけておく。
いつの間にか三合以上を飲んでいた──軽くなった瓶は冷蔵庫に収めた。
スー スー
花菜の寝息が大きくなる。眠りが深くなった証だ。
ほどよく酔いが回った状態の伊月は、彼女が眠るベッドにゆっくりと近付いた。
……ああ、安心する
気持ちよさげに規則正しく…狭い部屋を満たす花菜の寝息は、伊月に安堵を与える。
何故なのか、それは
彼女の眠りが深ければ深いほど…怯えさせなくてすむからだ。