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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第12章 かき乱す者

「何を暴いたところで…君にメリットがあるとは思えないね」

「興味本位だ。メリットはいらない」

「…もっと他にやる事はないのかい」

「…あいにく年中、暇なもんで」

「フ……だろうね。そんな戯言( タワゴト )のためにわざわざ訪ねて来るくらいだ。それなりに遠かったろう?」

「そうだな…。予想の倍は遠かった」

「この時間は電車もバスも終わっているよ。どうする気だい」

「別に、どうもしない」

「そこの公園で野宿のつもりならやめたほうがいい。…あまり治安がいい方じゃないからね」

「……いや」



ザッ...



互いに相手の腹を探るような会話が続いた後、伊月の方へ男が近付く。



「夜だからといって眠る習慣は無い…」

「──…」

「あんたは、今から寝るのか」



彼は伊月の目の前まで足を運び

それから、背の高い伊月を見上げることもせず横を素通りした。



《 今から寝るのか 》



…不自由だな、あんた




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