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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第12章 かき乱す者

とても眠れそうにない──顔色の悪い伊月の横を通り抜けて、男は路地を歩いて行く。
伏し目がちに振り返った伊月。
…君は自由だね
「雨が降らなければいいね」
突然の来訪者はこうしてあっけなく立ち去り
余計に頭痛が酷くなった伊月は、赤い宅配ポストに片手を置いて目を閉じた。
宣戦布告にしては腑に落ちない。
これから向こうがどう出るのかは知り得ないが、花菜が傷付くような事だけは避けなければと…彼はそれだけを、心に決めて空を仰いだ。
その状態で瞼を上げると
賛同する星の輝きは、ひとつとして見えなかった。
──…

