この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第12章 かき乱す者
花菜はぺたんと畳に尻を付けて内股に座り、枕元で兄の顔を覗きこんだ。
「んー…?」
「…っ」
顔を近付けて…コツン、額をくっ付ける。
これは花菜自身が体調を崩した時に伊月にされる行為だった。
「…っ…花…菜」
「ん…あれ、…どうしよう、わかんない…」
「……」
「熱は…無いよね? たぶん……無いよね」
微動だにできず仰向けで静止する伊月に対して、彼女は額を付けたまま呑気に悩んでいる。
そう、それはとても無防備な
主人にじゃれつく飼い慣らされた犬のような、寝起きの伊月には刺激が強すぎる愛らしさだった。
ああ…このまま抱き締めて、ムサボリタイ
そんな欲が浮かんだに違いなく…
しかし彼女がこれほど無防備に振る舞うのは、伊月を兄と信じている証だから
「花菜、熱じゃないから平気だよ…」
だから伊月には何もできない。