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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第12章 かき乱す者


「寝るか」

「はい…!?」


ドサッ


靴も脱がずに…不破がベッドに横たわった。

枕の高さが気に入らなかったのか、それをベッドの下に捨てた彼は、自分の腕を枕代わりにして身体を横に向けた。

花菜が立っているのとは反対側の、壁の方を向いて。

「何してるの…!?」

「わかるだろ。寝る」

「じゃなくて! なんでわざわざここで今──」

「昨夜は寝なかったからな。ここは涼しくて静かだ…寝やすい」

「……っ」

意味がわからなかった。

不破の言い分に理屈など通っていない。のに、非常識なのはこちら側なのかと思ってしまうほどの堂々ぶり。

なんで…どうしてこの人は…

こうやっていつも堂々としていて迷いがないのか。

自分が正しいと信じているのか?


自分こそが正しいのだと──


“ いいえ、違うんだわ ”


そうじゃない。この男は正しいなんてこれっぽっちも思っていない。


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