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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第13章 戒めの快感
AかBかの二択で首を振る…。彼女のこれは返答になっていないけれど、どちらも嫌なのだからこうする他ない。
すると不破が口を塞いでいた手を離す。
勿論、花菜は叫ぶことも暴れることもできないから大人しくしていた。
「ものわかりは…いいな」
「せ、せんぱい…ッ」
「だったらこのリボンはここに使うか」
不破は両手で持ったリボンを花菜の目の上に被せた。
それからリボンの端を、困惑する彼女の頭の後ろで結び合わせる。
「…っ…これ、前が見えません…!!」
「目隠しだ」
「何のため…!?」
「今にわかる」
視界は暗闇──。花菜の不安がみるみる膨らんで安易に動くことすらはばかられた。
両手を胸の前で組み、ぎゅっと心臓に押し付ける。それ以外に動かせられる場所がない。
網にかかった獲物と同じ。
この後の運命は今まさに、自分ではないこの男が握っている。
不安に……恐怖に……
潰されそうだ。
“ でも先輩に付いてきたのはわたしだから…っ。わたしの、意思だ ”
花菜はどこかで覚悟を決めた。だから逃げ出そうとはしなかった。