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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第14章 飽きられるまで

「先輩は…っ、どうして盗んだりするの?」
今、彼女にわかる事は──
不破は本を読むために盗むのではない。
" 盗んだから " 仕方なく目を通している。
ここ数日で学んだ事のひとつだ。
「理由か?」
「はい」
「……、自分のクズさ加減を自覚するタメかもな」
「…、それは」
「……」
「そんな理由で盗むの、よくない…と思います」
「知っている」
出た。いつもの言葉。
知っている、わかっている──。花菜を突き放すこれ等の言葉で終わるのが、いまや二人の会話のルーティンとなっていた。
花菜も今さら落ち込んだりできない。
理解しようとするから落ち込むんだって…やっと、わかってきたから。
「気になるならお前もするか? 教えてやってもいい」
屋上から校舎の中に戻った二人。階段を降りながら不破が彼女に振り返った。
花菜は大きく首を横に振った。
「嫌です。絶対にしません」
「ハッ、だろうな」
花菜の返答に躊躇いの時間はなかった。本当に嫌なことには考えるより先に口が反応するらしい。
まぁどうせ不破の誘いは本気じゃない。彼は花菜の忠告に従ったりしないけれど、自分と同じ事を他人に強要したりも絶対にないからだ。

