この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第14章 飽きられるまで
コンドームだって、花菜が付けるように頼んでから使い出すようになった。
つまり花菜の言葉を何から何まで無視しているわけじゃない。
ただ彼には他人に侵されない自分の世界、ルールができあがっていて…その世界を守ることだけは徹底している。それだけ。
「先輩のお家は盗んだ物で溢れてそうですね」
「いや。捨てるから増えない」
少しだけ皮肉をこめても、彼は怒ったりしなかった。
こうして1階まで下りて昇降口で靴を履き替えた二人は、すでに施錠された正門ではなく、裏門を通って外に出ようとしている。
そして門を通る直前
そこにあるごみ置き場に、不破が本を投げ捨てた。
「お前もそのうち捨ててやるから安心しろ」
「……」
「まだ、手放さないけどな」
愛着もないのに勝手に盗まれて、そしてあっさり捨てられた本。
コンクリート塀の内側で、ガラクタとして回収されるのを待つしかないそれを──
とても他人事に思えない花菜は悲しい目で見やる。
でも自分はあの本とは違う。捨てられる運命を知っていながら自らこの選択をしたのだから。