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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第14章 飽きられるまで

コンドームだって、花菜が付けるように頼んでから使い出すようになった。

つまり花菜の言葉を何から何まで無視しているわけじゃない。

ただ彼には他人に侵されない自分の世界、ルールができあがっていて…その世界を守ることだけは徹底している。それだけ。

「先輩のお家は盗んだ物で溢れてそうですね」

「いや。捨てるから増えない」

少しだけ皮肉をこめても、彼は怒ったりしなかった。

こうして1階まで下りて昇降口で靴を履き替えた二人は、すでに施錠された正門ではなく、裏門を通って外に出ようとしている。

そして門を通る直前

そこにあるごみ置き場に、不破が本を投げ捨てた。

「お前もそのうち捨ててやるから安心しろ」

「……」

「まだ、手放さないけどな」

愛着もないのに勝手に盗まれて、そしてあっさり捨てられた本。

コンクリート塀の内側で、ガラクタとして回収されるのを待つしかないそれを──

とても他人事に思えない花菜は悲しい目で見やる。

でも自分はあの本とは違う。捨てられる運命を知っていながら自らこの選択をしたのだから。

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