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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第14章 飽きられるまで
「ねぇこっち向いてよ。撮ってあげる」
「ええ〜?恥ずかしいよぉ」
「ももちゃん可愛いから "ばえる" よ!」
「いいなーわたしも彼氏に買ってほしい!」
露店の看板を見るにアイス屋さんかな?花菜の目がすぅーっと吸い寄せられる。
あれだけ盛り上がっているならよっぽど美味しいアイスなのだろうか。彼女たちが持っているアイスが気になって歩くスピードを遅めた。
「…何を見てる?」
「え、あれを…」
花菜の視線を追った不破もその店を眺める。
クレープ屋だな。
そこに溜まる生徒たちは買ったクレープを食べもせず顔の横に掲げ、取り出したスマホで写真を撮るのに夢中だった。
きゃっきゃと騒いで楽しげな様子だが、不破は馬鹿馬鹿しくて見ていられない。
「誰のために食ってるんだかな…あいつ等は」
「──…」
「…?お前」
「……」
しかし横の花菜を見下ろすと、彼女は見られているとも知らず無防備な顔で……
「お前、食いたいのか」
「ええ? ──ぁ、ごめんなさい。何か言いました?」
「……ハァ」
「…っ」
話しかけても上の空で、憧れを隠せない目を瞬かせていた。