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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第14章 飽きられるまで
辺りが急に静かになる。
そして沈黙の後にはどよめきが起こった。
当然の反応だと花菜は思った。彼は恥ずかしくないのだろうか。
一方で不破は周囲を全く気にしていない。花菜を掴んでいるほうと反対の手でズボンのポケットをあさり、取り出した小銭を掌に広げる。
ジャラ
「何でもいい。すぐに出せるやつをひとつだ」
そして金額は数えず、広げた小銭を全て売り場のカウンターに置いた。
さっきまで営業スマイルだった店員が驚いて停止している。
「早くしろ」
「お、お客さま?そのっ…ちゃんと並んで頂かないと」
「…は?」
「ですから他の方と順番を守って……」
「順番?おい、先に買いたい奴は誰だ、早く買え。──…。……いないらしい、問題あるか」
「いっ、いいえ!ありません!」
強引すぎる注文の仕方に誰も口ごたえできず、店員も慌てて従った。
申し訳なくて居心地が悪い花菜が、恐る恐る顔をあげると…
さっきまで彼氏と自撮りをしていた "もも" という子と目が合った。
不自然にタレ目を強調した化粧。まだひと口も食べていないアイスを握りしめて彼女が花菜を睨んでいる。
“ …あ、敵意 ”
ここ最近、同じクラスの女子たちから向けられる視線ととても似ていた。