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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第14章 飽きられるまで
初めはそれなりに辛かった筈だ。
でもその視線にも免疫がついてきて…皆からの冷たい態度にも、花菜はいちいち悲しまなくなった。
不破と一緒にいるからだと思う。彼と行動を共にしていると、そういうのに傷ついていく心が少しづついなくなっているのだ。
だからこうして向けられる敵意にも、どこか冷めた余裕を持って構えられる。
「お待たせしました!『濃厚チョコとナッツクリーム、魅惑のベリーソースがけ』でございますっ」
そうこうしているうちに店員が作り終えたスイーツを不破に手渡した。
彼がカウンターに広げた小銭から料金だけを受け取って、お釣りも一緒に返していた。
「ほら」
「あ…っ」
「自分で持て」
買ったそれを顔の高さに差し出される。
迷いつつも花菜が両手で受け取ると、腕をやっと離してくれた。
「食え」
「え!こ、ここで…?」
「買ったのは俺だ……それは "買い食い" じゃない」
「……!」
『 学校帰りに買い食いはできませんし… 』
だから、先輩が買ったの…?
「…どうした」
「…っ…いいえ、その……頂きます」
ほぼ無理やり食べさせられている状況だが、花菜は大人しく口にした。