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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第15章 汚れた安堵
不破はそのビルを4階まで上がった。
以前に連れ込まれたのは3階だった筈なので、全く同じ部屋ではないらしい。
ギィ...
だが不破が鍵を開けて中に入ったその部屋は、やはり花菜が知っている"家"とは異なる装いだった。
捨てられたオフィスビル。そのままの室内。
玄関も小上りも無い所で彼は無造作に靴を脱いだ。
“ ここに住んでるって言うの…? ”
室内は、物が異様に少ない。
目に付くのはソファーと大きめなローテーブル、その上に置かれたパソコンくらい。
「…奥。風呂場で手を洗える」
お風呂場もあるのか。それすら意外に思えるくらいに、この空間には生活感がなかった。
明らかに増設されたふうなシャワールームに入った花菜は、そこに設置された洗面台で汚れた手を洗った。