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第16章 崩壊への誘い

だがそれで構わない。

不破にとってこの場所はかりそめの住処。カモフラージュのために通っている高校もいつでも辞められる。

勝手に仲間扱いして寄ってくる同級生のクズ達はすぐに切り捨てられるし、彼を繋ぎ止めるしがらみは何であろうと必要なかった。

不破がこの生き方を嘆いた事は一度もない。


『 ぅ、ぅっ…たすけ て…おにぃちゃん…… 』


万が一にも嘆いたりすれば……

彼は不幸になってしまう。





「……ﾊ、…同情するとか……馬鹿だな、あの女」

仰向けに寝転び、乾いた笑いを吐き出す不破。


ｺﾝ

ｺﾝ

ｺﾝ


「──…」


その時、何者かが部屋の外から扉をノックした。