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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第16章 崩壊への誘い
息を呑み込んだ不破の五感が、無言のうちに冴えわたる。
空気が緊張して強張った。
“ まさかこれは…… ”
大きめなアクセサリーと、持った指先に感じる不自然な重み──。
「‥‥」
髪飾りを横にして注意深く観察すれば、縁(フチ)の真ん中に微かな亀裂(キレツ)ができていた。
ここから半分に割れそうだ。
先ほど靴で踏んだ時、元からあった境目が広がったのだろう。
亀裂に沿って不破が爪を押し込むと
縁が綺麗に真っ二つに割れ、押さえが無くなった髪飾りの裏側から隠れていた中身が現れた。
キーボードの上に真っ直ぐ落ちる。
やっぱり──…そういうことかよ
転がり出たそれはSDカードよりも小さな半導体チップだ。
電子回路が剥き出しの、黒色のチップ。
“ 盗聴器?──…いや、この大きさなら… ”