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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第3章 ルール
花菜が荷物を持たずに早退したと高校から伊月に連絡がはいってから、かれこれ三時間以上経っていたのだ。
彼女との連絡がつかないから家を空けて探しに出るわけにもいかず、こうして待つことしかできなかった伊月。
最悪の事態をまぬがれたことに、心の底からホッとしている。
「心配したんだよ」
「…ッ…ごめんなさい」
「話は後で聞く。だから…まず、お風呂に入ってくるんだ。風邪をひいたら大変だから」
「…! うん」
抱き寄せていた身体をそっと離す。伊月の顔は安堵でほころんでいた。
遅くなった彼女を怒るわけでなく、一緒に中に入って玄関のドアを閉める。
ご飯は今から作る。そう言ってから、先に彼女を風呂に行かせた──。
──
そしてパジャマに着替えた風呂上がりの花菜は、丸テーブルをはさんで伊月と向かい合った。
そこには夕飯の焼き魚とスープが白米と合わせて用意され、ちょびちょびと食べる彼女を、伊月が穏やかに見守っていた。
「…早退したのは、体調が悪かったからかい?」
料理があらかた無くなってきた頃合いで…やっと彼は話を切り出した。