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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第3章 ルール
「ううん…。違う、よ」
「そうか。…なら、どうして?」
「……」
「…話したくない?」
「……ん」
花菜は彼と目を合わせるのを拒んでいる。
学校でのいきさつを話したくなかったから、喋る代わりにスープをできるだけゆっくり飲み干した。
そうやって答えない花菜にも伊月は優しい。
ただこういう聞き方はある意味、卑怯で、いっそ問い詰められたほうが意固地になって黙っていられるのに。彼はそうしないから。
「嫌なことがあったの?」
夕飯を食べ終わった花菜は、やはり白状するしかなかった。
「学校の子と、ちょっと…言い合いというか」
「喧嘩したのかい?」
「喧嘩じゃない…と思う」
そうだ、あれは喧嘩じゃない。
喧嘩のほうがずっとマシ。花菜は一方的に馬鹿にされたのだから。
でもそれだけは伊月に知られたくなかった。
「……わたし、学校のみんなが嫌いなの」
知られたくないけど、慰めてほしくて。
花菜は必死に涙をこらえながら話し出した。